ITエンジニア転職の基礎知識

転職活動をはじめる前にまず考えて欲しいのは、「転職をしたい理由」です、これを明確にしておかないと、今後の転職活動を行う上で自分の目的と手段にブレが生じてしまいます。まずは、しっかりとキャリアプランを立てた上で自分が転職したい理由、転職で自分が目指す「将来の自分像」を考えましょう。キャリアプランに沿って「転職をしたい理由」をしっかりと考えた上で、今は転職をする必要は無いと判断をするのも一つの方法です。今の会社でキャリアを積むことで学べることもあるかもしれません。「転職」はあなただけでなく、あなたの家族も会社にもおおきな影響を与えます。転職してしまってから後悔することのないように、良く考えてから転職活動を始めましょう。

 

漠然と転職をしたいと考えているけど、明確な理由がない人は、大きな白い紙にあなたの「やりたいこと」、「できること」をそれぞれ書き出してみましょう。できるだけ具体的に書き出してください。書き出したら、その両者にブレがないか比べて見ましょう。あなたの「やりたいこと」は今の会社でできていますか?できていないならどうすればできるようになりますか?それともいまの会社のままではそれは達成できないのでしょうか?また、あなたの「できること」は「やりたいこと」を行う上で充分ですか?足りないスキルはありませんか?それはどうやったら身に付きますか?今の環境で身につけることができますか?これらを書き出すことでだんだんあなたの「転職をしたい理由」が明確になるでしょう。今の会社では努力しても「やりたいこと」ができないようなら、それがもう転職理由になります。

 

また、「転職をしたい理由」を明確にすることは、膨大な量の求人情報から自分にマッチした志望企業を探すのに役立ちます。転職をしたい理由は、あなたの仕事観であると言っても良いでしょう。その価値観を大切にし、現職で自分が抱える問題点を改善できる、もっと自分の能力・スキルを生かすことの出来ると思えるような素敵な企業と出会うための道しるべとしてください。

転職をすると決めたら、次ぎはスケジュールを立てましょう。この転職のスケジュールこそが、転職を成功させるひとつのかぎになります。転職活動の流れをしっかりと把握し、効率的に動きましょう。転職スケジュールの目安は転職先企業選びから転職先企業への入社まででおよそ3ヶ月〜4ヶ月です。しかし、現在の職務の引継ぎや、上司の強い引止めによって、もっと長期間になることもあります。転職スケジュールは余裕を持って組みましょう。

 

転職スケジュールを立てたら、実際の転職活動開始です。転職先企業を決める前に業界研究・職種研究を行います。現職と同じIT業界内での転職であっても、現在のIT業界の最新動向を知ることは重要です。今のIT業界の流れ・トレンドから自分のスキルや経歴をどうアピールしたらもっとも効果的か把握しておきましょう。特にIT業界はスピードの速い業界です。常に最新の情報を仕入れるためにアンテナを張っておきましょう。

 

次ぎは自己分析です。「キャリアプラン」の見直しや修正・「キャリアの棚卸し」を行い、自分のスキル・能力の把握をしましょう。自分の魅力を転職先企業に効果的にアピールするために、業界研究・職種研究で把握した現在のトレンドに沿ってキャリアを見直しましょう。自分を良く知ることが、転職活動・キャリア形成では大切なポイントです。

 

以上の事前準備が終わったら、いよいよ転職先企業を探します。詳しい求人情報の探し方は後ほど説明致します。次は応募書類の準備をしましょう。必要となる書類は大きく分けて履歴書、職務経歴書があります。場合によってはカバーレター(添え状)も必要になります。必要書類は1種類を複数の企業で使いまわすのではなく、企業に合わせて数パターン作成しましょう。その企業に最も適する自己アピールの仕方は企業ごとに違うはずです。

 

企業にエントリーし、書類審査を通過したら次は面接です。また、企業によっては筆記試験行うばあいもあります。そして複数の選考ステップを経て内定となります。内定を頂いたら、引き継ぎ・退社、そして転職先企業に入社、というのが転職活動の流れになります。

転職活動では業界研究・企業研究が必要ですが、現在インターネットの整備により情報は私たちに過剰に供給されます。膨大な量の情報の中で、転職活動に本当に必要で役に立つ業界・企業情報はどのように手に入れたら良いでしょうか。

 

 

【IT業界研究の情報収集】

 

IT業界はあらゆる業界の中でもっともスピードの速い業界です。ですので、最新情報といえどもすぐに古くなってしまいます。特に技術関連の情報などは、数年過ぎれば全く使い物にならなかったりするでしょう。ですのでIT業界研究を行うためには、常に最新の動向を見ることのできる媒体を参考にします。それは「雑誌」や「インターネット」です。特にインターネットはリアルタイムで更新されますので、信用できるソースを選べば、常に最新情報をチェックできます。業界研究には「業界研究書」というものもありますが、それぞれの本でIT業界の定義が違っていたり、業界の再編が度々起こっているので、情報が古く、あまり参考になりません。もし参考にしたい場合は少なくとも1年以内に発行された本のみを参考にしてください。「インターネット」ならば会社四季報や経済新聞系のWEBサイトが参考になります。

 

 

【企業研究の情報収集】

 

企業研究をする上で、もっとも情報量が多いのが企業のWEBサイトです。情報は常に更新されるので、その企業の最新動向や新規事業計画を知ることができます。また、株式を公開している企業ならば、投資家向けのIR情報も参考になります。客観的な情報を知りたいのなら「会社四季報」を参考にすると良いでしょう。人の生の声も参考になります。その企業またはその企業と取引のある企業に勤めている人や人材紹介会社のコーディネーターに尋ねてみましょう。

企業の求人情報を見て、転職先企業を探そうにも求人情報の見方が分からなくては探しようがありません。ここでは転職活動に欠かせない求人情報の見方について説明します。

 

募集職種

IT業界の中でも、たとえ同じ職種であっても、企業によりその定義や業務範囲が違う場合があります。職種名だけで判断せずに、エントリー前に企業に確認しておきましょう。転職エージェントを利用しているなら、キャリアコンサルタントに聞いてみるとよいでしょう。

 

雇用形態

これは必ず求人情報に書かれていますが、見落とし勝ちな項目です。正社員、契約社員、があります。正社員と契約社員では待遇面や給料でおおきな違いがあるので、しっかりと確認しましょう。契約社員の募集しかない場合でも、業績次第で正社員に登用されることもあります。気になるようなら電話で確認してみましょう。

 

試用期間

もし求人情報に「試用期間」の記載があるならば要注意です。その間は給料が少なめだったり、試用期間の後に内定取り消しということもあります。ですので試用期間の長さや待遇の違いなどは事前に確認しておきましょう。

 

応募条件

応募条件とは年齢、経験、資格などですが、これはそこまで厳守する必要はありません。熱意があれば条件に合わなくても受け入れるという企業がほとんどですので、エントリーをあきらめずに連絡してみましょう。

 

給与

記載されている額は最低保障される額です。500万以上とあれば交渉次第でそれよりも上がるということです。

 

業務内容

求人情報にはまずそこまで具体的には書かれていません。キャリアコンサルタントや企業に問い合わせて見ましょう。

 

勤務地

勤務地は基本的には企業の決定に従います。希望があるのなら早い段階で話しておきましょう。

 

応募方法

厳守してください。企業によって電話・メール・郵送など方法が違います。エントリーの時点から選考は始まっています。社会人として恥ずかしくないマナーを守りましょう。

企業研究と一口に言っても、インターネットが普及した現在、情報源はたくさんあります。企業のどこに注目すればよいのか分からないこともあるでしょう。企業研究を行なう目的は「その企業・業務内容が自分に合うかどうかを判断するため」、「企業に対する理解を深めて、それに合わせた自己PRを行なうため」の2つです。この2つのポイントに注目しながら企業研究を行なっていきましょう。

 

企業研究をする上では、具体的な基準を決める必要があります。組み立てたキャリアプランを参考に希望条件を書き出します。「年収600万以上の会社」、「福利厚生が充実している会社」、「週休2日制の会社」、「JAVAのスキルが活かせる会社」、「研修制度がしっかりしている会社」など、具体的に書き出していきます。しかし、一番大切なのは「転職する目的、現職の問題を解決できる会社」だということを忘れないで下さい。

 

企業に求める基準を決めたら、今度は自分が興味を持った企業がその基準にマッチしているかどうかチェックします。全てを満たす企業は少ないでしょう。ですので、基準の中でも優勢順位を決めると企業を選びやすくなります。それぞれの項目で企業を独自に評価してみるのもよいでしょう。また、給与や待遇面などの、IT業界の相場を知りたい場合もあるでしょう。そのような場合はIT業界のトップ3社、ハードウェア・ソフトウェア・インターネット・通信インフラ分野のトップシェアを持つ企業、最近活発になってきたベンチャー企業、雑誌などで話題の企業、の採用情報・企業情報を調べてみましょう。IT業界の相場が大体わかります。

同じIT業界の中でも、未経験の職種に中途採用でチャレンジしたい場合は、まずその動機をはっきりさせましょう。企業が求めているのは「即戦力になる人材」です。ですので、未経験の場合の転職は経験者に比べて圧倒的に不利になります。自分の経験がないことを認めた上で、それでも何故その職種にチャレンジしたいのか熱意をアピールしましょう。その職種の魅力、動機を整理してみましょう。もちろん熱意だけではダメです。また、今までの自分の経験・スキルをその職種でどう生かすことができるかアピールします。例えばSEから営業などであれば、SEで身につけたシステムに関する知識を顧客へのプレゼンテーションに生かすなど、企業が納得できる自己PRをします。

 

また、効果的な自己PRのためには、業界研究や企業研究が欠かせません。最新の動向を常にチェックして使えるネタを仕入れておきましょう。同じIT業界であっても、企業のビジネスプランによっては求められる人材は異なります。「新聞」、「業界紙」、「専門誌」、「会社四季報」「企業のWEBサイト」などで最新情報を入手しましょう。

 

企業が求める人物像と自分の経歴の交差点を探り、企業に貢献できる点を見つけましょう。それを職務経歴書の中で積極的にアピールします。また面接の受け方も経験のある職種を受ける時とは少し違います。企業の面接官は履歴書を見れば、あなたがこの職種の経験がないことぐらいすぐに判断できます。ですので、それに臆することなく、自分の経験を転職先企業ではどのように生かせるのかを自信を持って話しましょう。自分という商品のプレゼンテーションを行なうつもりで面接に望みます。